やっと観れた、カンヌで脚本賞を受賞した同作品。3時間あるのでじっくりゆったり、家に誰もいない日を選んで存分に観ることができました。U-NEXTで有料(300円くらいだったような)、ネタバレ少な目で、感想(絶賛)を。濃厚なシーンもあるので一人で観るのがお勧め。
★★2022.3.30更新★★ 米アカデミー賞受賞おめでとうございます!!
脚本のすばらしさ
原作(村上春樹氏)は未読なのですが、ストーリーと映像と音楽と演者、どれもいい感じです。最初のシーンの空の色、一番好きな色。霧島れいかさんのあぶなげな旋律=声で始まる。
舞台となった広島と北海道の美しい景色。フェリーから見下ろす夜の荒波。トンネル三昧(ムンクの叫びのようにうねうねと続く景色)。ロードムービー味になっていたり、車の色も黄色から赤にしたのも原作から変えているということでこのあたりの作、素晴らしい。
■あらすじ (出所:Google)
舞台俳優で演出家の男は、妻と穏やかに暮らしていた。そんなある日、思いつめた様子の妻がくも膜下出血で倒れ、帰らぬ人となる。2年後、演劇祭に参加するため広島に向かっていた彼は、寡黙な専属ドライバーの女と出会い、これまで目を向けることのなかったことに気づかされていく。
「喪失と再生」の物語といいますが…
劇中劇、どまんなかにチェーホフ作「ワーニャ伯父さん」の演劇シーンが盛り込まれています。広島の国際演劇祭の為に集まった多国籍の演者のおりなす舞台。このオーディションや本読みのシーンが素晴らしいです。悩める岡田将生。
喪失と再生で語られますが実際のところは…
喪失と疑念ともがきと蓋(なかったことにする)、やっぱりむくむくともたげてくる疑念、聞かなかったことの後悔、そして自分の内側から湧き上がる”本心”。ちゃんとみてちゃんとさらけだす。生き残ったものにはそれぞれの人生が続くから。清濁を併せのんで静かに調和しながら続いていく、生きていくのです。
演劇大好き、国際交流も盛んな西島秀俊さんが心地よい・好みだろうなと思える空気をまとって、岡田将生さんと三浦透子さん、そして日本+各国のキャストの方々もそれぞれの出演作を見たいと思うほどすばらしー!。演劇人が「感情を入れない」とどうなるのか? そうなるのか、、、と興味深かったですし各国の俳優が入り交じり、各国の言語で表現するというやりかた。手話についても言語と同レベルに持ってきて演劇として練習と本番は全然表現が違う。1つの個性、言語としての手話、可能性の広がりに感服です。
映画と日常
映画の美しさに現地にいってみよう!と思いをはせるものも多々ありますが本作の映像もとても美しく、また、撮り方(角度?光?)日常の身の回りの景色の美しさにもっと目を配ってみようという新しい気づきがありました。
秋の色づく公園、雪景色。たんぼの真ん中を走る赤いSAAB。先ほども書きましたが夜のフェリーから見下ろす荒波、を西島さんの頭上高いところから撮る。荒波に飛び込むんかなと思ってしまった。チェーホフ系ってあちらの世との境目が薄い感があってつい。。
観覧後は
自分の身の回りの「蓋をしているもの」、「目はむけているが見ていないもの」「季節ごとの景色」にもっと触れ意識をもっていこうと思わずにはいられませんでした。目は見るべきものをみれているのか、耳は聞くべきことをきけているか?大切なモノと向き合う時間があるうちにやっとこうと思った次第。
自宅で見る映画の気軽さ
映画を観た後、出演されていた俳優さんの別の作品をみたくなったり、インタビューを読み漁ったりする私なのですが、現在のところ映画系のサブスクにはこれだけ↓はいってます。半分くらいに絞りたいけれどなかなかどれもよくて。
- U-NEXT
- Netflix
- Amazon Prime
- WOWOW
春の嵐、おうち時間に是非。
↓おすすめ映画たち
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