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【映画】 夜叉ヶ池(4K)。玉三郎様がただただたおやかで美しい

泉鏡花全集舞台・芸術鑑賞

最も好きな作家は泉鏡花、全集を買うも積読(つんどく=買ったままで読んでない)状態でしたが、WOWOWで泉鏡花原作の「夜叉ヶ池(4K版)」が放映されていたのでその世界観を味わうべくこの休みにじっくり鑑賞しました。

40年以上前の作品とは思えない瑞々しさ・禍々しさ

出演は坂東玉三郎さん、なんと映画初出演だったそうです。それから加藤剛さん、山崎勉さん他。監督は篠田正浩さん。監督の作品を拝見しますと「沈黙(Silence)1971版」がありました。夜叉ヶ池を絶賛されていたというマーティン スコセッシ監督版の「沈黙(Silence)」とのつながりを感じます。スコセッシ版を観て、あまりのことに一週間「虫の声」だけをBGMにして自分自身沈黙してしまったほど。。素晴らしい作品。

とにかく玉様が美しい、美しすぎる

さて、本作の玉三郎様。そのお声や目線、所作からしてもう素晴らしく美しい。二役のうち夜叉ヶ池のお姫様=白雪姫の激しさ、もう一役の村のお百合さんの控えめ・たおやかながら一途なところと色気、もう両方素晴らしく眼福の極みです。 まるで舞台をみているような演出、人というものの弱さ、束になった時の心理、浅はかさ…。

牛の背中に乗せられているシーンはまさに泉鏡花の世界そのもの、美しくはかなく哀しい恐ろしい、そして周りの気がふれたような喧騒…。クライマックスへつなぎます。

クライマックス・水のとんでもない威力

特撮とはわかっていても、村の家々をなぎ倒していく水、実写・ロケという最後の滝つぼシーンなど、ドローンもデジタルもない時代にここまで迫力のある映像、40年以上前の作品、改めてすごいとしか言えない。これは演者も命がけです。本当におぼれているようでした。滝つぼと山崎努と絶望、なんという終末感。いいです、とても。途方に暮れるとはまさにこの状況なんだという絶望感がひしひしと。滝はブラジルのイグアスの滝とか。下記リンクのインタビューに詳細あります。

名優ぞろい

上記の他にも丹阿弥谷津子さん、三木のり平さん、唐十郎さん、井川比佐志さん、石井めぐみさん他俳優の皆様がお若かったり、もういない方々をお見かけしたりして。素晴らしい作品に名が残るというのは映画作品の魅力・役者冥利というものでしょうか。冒頭の数分、枯れに枯れた村の表現。砂埃。山崎努さんが水を飲むまでこっちも喉がからっからになりました。 また、ひょんなところで”まんが日本昔話”に出ておられた常田富士男さんが「蟹の役」ででておられて、ほっこり♪ 声の存在感で場の空気を制してしまう、さすがです。

篠田監督のインタビュー(2021年 7月。 再映によせて)

ロケ地、撮影秘話、鏡花の作品に対する篠田監督の解釈など。今年のカンヌ国際映画祭のクラシック部門でも上映されるそうです。

詳しくはこちら→ 日経のインタビュー記事です

鏡花の世界

人ならぬものやおどろおどろしい感情が多くでてくる鏡花の世界、表現も独特で言葉が練られています。読みだしたら通常の世界に帰ってこれなくなりがちなので、まず”読む時間をしっかり確保”することが必要。そんなこんなでおきっぱなしになっている全集。旅のお供にもできないし、昨今のおこもりにはぴったりかもしれないです。

読書をしていると周りの音や声が聞こえなくなるくらい集中するので、とんでもなく時間がすぎていることもしょっちゅう。子育て中は封印せざるを得ませんでした。 さて、これからは遠慮なく再開してどっぷりと世界観にはまり、一人で深く深く沈んでいける幸せ。文章、表現、受け取った感情を自分の中に取り込んでいく。 全集10巻を読むとおそらく何年もその世界に浸ってって出られない。リタイア後の時間で一番楽しみにしています。

買ったはいいが手を付けていない全集1~3巻。

 

 

 

 

 

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