チェン・カイコ―監督作品。公開30年、主演 レスリー・チャン没後20年を節目に4K上映。それはあまりにも過酷で美しく儚い物語。
人生で最も影響を受けた映画作品の1つ
鑑賞後に動けなくなってその後何週間も頭から離れなかった作品は3つだけ。
「ダンサー イン ザ ダーク(ラースフォントリアー監督)」と「沈黙(Mスコセッシ監督)」
そして「覇王別姫(チェン・カイコ―監督)」。”はおうべっき” と読み英語のタイトルは「Farewell to my concubine」。
3作は20代、30代、40代の私に「生きることとは」を見せてくれた名作。
どれも1度見たきりで、前2作はアマプラやNetflixで観られるようですがみることはない。みれない。ざっくりと心の臓にささったまま。
そして「覇王別姫」はアマプラ他で配信されていない。そんな時に4Kで上映されるという情報を得て、近場だとアップリンク京都で8月24日まで(以降未定)ということで
30年前の感動・哀しみを味わおうと観にいってきました。
上映は3時間近い。
覇王別姫
コピーにある
夢のような永遠の一瞬をあなたと歩んだ ーー
まさにこれ、これだけで泣ける・・
概要は、
娼婦の母親に捨てられ京劇団に売られ役者として過酷な鍛錬の日々を過ごし、京劇「覇王別姫」の虞姫の役と現実世界との区別がつかなくなるほど没頭する、後の売れっ子 蝶衣(レスリー)。兄弟同然に育った覇王役の兄弟子・小樓を愛していたけれど、彼は娼婦の菊仙(コン・リー)と結婚してしまう。この3人の人間模様と社会背景や価値観が様変わりしてゆく中国のその時代(日本との戦争前後、文化大革命など)に翻弄されるさまを悲しく、美しく描いています。
4Kで観るとなおさらレスリーが気高くて美しい。京劇シーンが華やか。チェン・カイコ―監督の映像美。
それぞれの顔のアップも多く、感情をさぐる。
上映された30年前は20代だった。その当時は好きになれなかった菊仙(コン・リー)のしたたかさも、50代であらためてみてみれば、その哀れ、必死にもがいている姿に感情移入できる。この映画はどの立場で観るか、それぞれの人の背景を考えたり自分だったらどうするかを想像してみたりして、鑑賞後に長く味わえる作品。そして美しい京劇「覇王別姫」の物語と音曲・詠う声が頭から離れない。覇王別姫は四面楚歌の話。悲しい結末。
映画で描かれる、人生で何度も価値観が変わるような過酷な体験を乗り越えて生き延びてきた、かの国の人々。
とかく人を裏切る行為=密告やつるし上げがキツイ。昨日の友は今日の敵。糾弾されるかつて名声を誇った文化人たち。
兄の為にした行動で足元をすくわれる蝶衣(レスリー)。
それでも泥の中から咲く蓮の花のようなレスリーの、凛とした美しさとプライド。裏切りに愕然と崩れ落ちるさま。汚れてもなお美しい。2回目の鑑賞で最後のシーンを知っているからこそ、最後のレスリーのアップの表情に覚悟と哀しみをより感じてぐっとくる。
最後の一瞬まで気高い虞姫・蝶衣・小豆子であったレスリー、没後20年、安らかに。
アップリンク京都へは
今回初めて訪れましたが行き方は簡単。地下鉄 烏丸御池駅の南改札をでてすぐ左、新風館へのエスカレーターを上がった左手にあります。
いろいろ作品のポスターが貼ってありました。
上のリンクであらかじめ予約しておいたチケットを出力して、ポップコーンは買わずに緑茶(抹茶度が高め)を買って入場。
小さいながらも居心地の良い映画館、映画好きが集まっている感じでよき。
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