武家から町民、近世から近代にかけての「婚礼衣装」展に行ってきました。時代が変われば形式も変わる、それでも日本の文化は続いていて素晴らしい。
講演を合わせて申し込む
- 場所:県立奈良美術館 (近鉄奈良駅から歩いて10分ほど)
- 会期:前期は令和4年4月23日~5月22日、後期は5月24日~6月19日。
- 入場料:大人 1,000円
5月22日と6月12日にそれぞれ講演会があり、私は5月22日の講演を予約。講義自体は無料です。
- 講義テーマ:近世・近代の婚礼衣装 ~色と模様に見られる日本人の価値観~
- 講師:共立女子大学教授・同大学博物館長 長崎 巌氏
当日は、講義のあとに観覧したいので、講義開始時間の少し前に到着するように行きます。
着物の人が多かった
少し前にいった「薪御能」よりも断然着物の方が多かった。地元の方が多かったのだと思われます。ほぼ女性で埋まっている50人強の会場。
↓薪御能(はじめての能)
↓講義の様子はYouTubeでもLIVE配信されました
ポイントは以下手持ちのメモですが、
- 白無垢の白は「はっきり見える」「素のまま」「混じりけのないもの」から”純粋さ”を表すようになった
- 赤無垢は嫁ぎ先の両親と嫁との杯。現代ではもう見られなくなった。赤は「明し(あかし)」からきていて昼と夜の状態の間。不吉な夜に対抗できる呪術的な力を感じさせる色
- 黒は闇=普遍性を連想させ、権威や威厳の色。
- 武家の婚礼では白無垢で2日間、3日目に色物をもってくる。町人へはその色だけが伝わっていった
- 特に町人は宴会を通じ「周りに周知してもらう」ことに重きをおいていた
- 明治以降も色も多様化し、一部は簡略化されたりしながら現代に続いている
- 模様は吉祥模様。おめでたいというよりも「祈る」に近い模様。
- 松竹梅鶴亀=蓬莱模様。5つのセットで長寿を祈る。蓬莱=理想郷
- 橘も常世の国の食べ物。実に意味がある。
- 桐は鳳凰が住んでいるといわれていて、竹の実を食べる。桐だけの模様のものが多いのは鳳凰が女性の婚礼衣装には合わない?からともいわれている。鶴の方が日本人好み。
- 松鶴。松=常盤の松。鶴=長寿。
- 王朝模様=御簾、几帳、源氏車、薬玉、貝桶、冊子、扇(檜扇)。平安時代の優雅な印象が好まれた。
- オシドリ=婚礼衣装・お祝いがらみのみに用いられる
- 紋の織物と刺繍では武家の世界では格が全く違うが、町民の世界では「色」だけが伝わっていき、白無垢、黒振袖と簡略化されていった。
- 貸衣裳がでてきたことで、白無垢の文化がまだ残っている。
↓撮影OKエリアより。いまみるとそれは贅を尽くした着物の数々。
昭和世代(私)と平成世代(娘)
さて、結婚式自体をもうしないかもしれない今の世代。フォトウエディングなども流行っているようですが、どうなりますやら。
昭和世代の私は白無垢も色打掛も着ましたね。確かに赤無垢なんてものはもうなかった。
娘の花嫁姿をみて感動ですすりなく父(夫)を見たい気もするけれど、色や模様に祈りを込めて、子供の幸せを願うキモチは変わらない。
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