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初めての能 ~ 春日・興福寺「薪御能」へ ~

京都・奈良

奈良 春日大社と興福寺で3年ぶりに行われた「薪御能(たきぎおのう」へ、初めての能体験。厳かで幽玄な世界。

事前準備:前売り券を買って、入門講座も申し込んでおく

フォローしている奈良観光のTwitterで流れてきた「薪御能」のお知らせ。そのままスマホで申し込みます。

5月20日(金)と21日(土)。演目が違うのでどちらにするかなやみつつもやはり初日・平日の20日をセレクト。5,000円の一日券を買うと、春日大社と興福寺の両方を観ることができます。

↓20ページほどのパンフレットももらえます。なかなかの読み応え

  • 11時から(開場は10時から)春日大社舞殿にて「咒師(しゅし走りの儀」として<翁>を金春流で
  • 17時30分から興福寺 南大門跡 般若の芝で「南大門の儀」として<葛城>を金春、火入れの後<狂言・飛越>、そのあと<鵜飼>を金剛にて演能。

朝と夕方とものすごく時間があくのと、私自身に能の知識が全くなかったので

  • 13時30分からの「御能を楽しむ、奈良で楽しむ  薪御能入門講座」

こちらも申し込んでおきます。あとでわかったのですがこの講座に申し込んでおくと、午後からの「南大門の儀」でお席の確保がいただけるということでお得です。前売りのチケットを買っていても、自由席なので事前に並ぶなどの手間が省けるので助かります。2,000円で講座とお席の確保はありがたい。

ネットで申し込んだあと、主催者へ郵便振替でチケット代を送金し、チケットを送ってもらいます。
講座の方は当日窓口でお支払いす。

前日:お天気の確認と当日の動線を確認する

雨天だと会場が変わります。主となる会場、興福寺はわかるとして春日大社の「舞殿」ってどこ?…いつもお参りしている本殿の前でした。境内は広いので場所の確認、大事。

あと服装ですね。当日は曇っていたものの昼間は蒸し暑く、夜は冷えました。上着・ストール・ジャンパーを着ていた人も。半袖の人は震えていたかも。盆地の夜は、寒い。私は着物で行ったのですが(ひさびさ!)袷でちょうどよかった、夜は1枚ストールが欲しかった。。冷えました。

着物

紬の袷。帯は悩んだ末、別のものにしました。

さて、行程は、駅から春日大社(徒歩30分以上、バスか)、終演後に興福寺まで徒歩で30分。食事をどこでとるか。カフェに寄るか。終わってからBARにいくかなど、お店の確認を事前にしておきます。

咒師(しゅし)走りの儀 春日大社<翁>

奈良

朝9時すぎの飛火野を横目に春日大社への参道を進みます。そしてお詣りをしたあと並んで席へ。

舞殿。最前の席に初心者が鎮座、すいません(本殿にむけて演能されるので、後ろから見る形、囃子方の背中越しに観ます)。

定刻に、ほら貝をふきながら太刀・長刀をもち白い頭巾と黒い法衣、黒い高下駄といったいで立ちの興福寺の衆徒数人を先頭に入場(先頭の方、海外の方でした)翁の演能は1時間くらいでしょうか。小さい椅子に座って意味を考えながら観ます。謡いはほぼ聞き取れない。。

神様にささげているので拍手はしない(のかな?)。演者の皆さまが舞台から去られたら私たちも出ます。

入門講座

興福寺会館で13時30分から始まる入門講座。この日は金春(こんぱる)流シテ方の金春穂高氏による講義です。

50名ほどの会場、マイクなしで会場の隅まで聞こえる通ったお声。さすがです。
休憩をはさみながらの1時間半、①薪御能の魅力 ②曲目解説・いかに楽しむか についていろいろな裏話を交えつつ、朝はわからなかったことも午後の演目ではわかった(ききとれた)こともあって楽しみが深まりました。以下ざっとメモからですが

  • 室町以前からある、長く続く伝統ある雅楽や能。869年興福寺西金堂での修二会が始まり。
  • 大和四座(やまとしざ)。序列は金春・金剛・観世・宝生
  • 舞、謡い、囃子、衣装、その人独自に見方・楽しみ方をみつけて自由に観てほしい
  • 咒師(しゅし走りの儀、御社上がりの儀、南大門の儀と四座
  • 別当坊とあがり藤、さがり藤
  • 舞台あらため、興福寺の話
  • 薪を焚く理由。神聖なる、浄化された空間
  • 曲目解説。翁、葛城。ポイントとなる謡い。
  • 「わからない」でいい。理解しがたいからおもしろい、わからないからもっと見たい知りたいという魅力。
  • 曲目解説。鵜飼。象徴的な舞、表現。「月になりにけり」⇒ 月は死の世界、自分は死んでいたことに気づく、そのシーンがどうやって謡われるか。
  • 曲目解説。春日龍神。玉鬘。ほか

ちょっとした表現や見どころを教えて頂くといった感じでこのあとに観た「南大門の儀」は初心者ながらもわかる部分もあって、深みにはまっていきそう。そう、沼の入り口です(うれしい)。

わからない=妄想するところが多いのがよき。

南大門の儀

新聞報道によると約600人ほどが観覧された、南大門の儀。薪御能というだけあって、薪を前に演能されるお姿は、幽玄そのもの。音響が入っていたのでよく聞こえました。囃子方も響いてました。アナウンスがあって何が始まるかの宣言があるところもありがたかったです。

そして、前述の講義でもおっしゃられていた、能は「変えない」。ということは同じ曲目を太閤秀吉や織田信長も観たのかも。そう思うとなんとも感慨深い気持ちに。 ちなみにこの日のお殿様席には奈良県知事がお見えでした。「鵜飼」の前に退席されてましたが、、もったいない!

春日大社には戦国武将の燈籠も多く奉納されていますし、まさに、これは時を超える奈良。幽玄の能。

 

終演後

終わったのが午後9時前。それぞれ何時までかがわからなかったり、南大門の儀では休憩時間があったりと勝手やお作法がわからなかった分とまどいましたが、長く充実したよき1日でした。演者の方も観客も、まだまだ年齢層が上の方も多く、これからはまる沼には最適。見るべきものがまだまだありました。

もう、寒いのと営業時間9時までで諦めた、帰りに寄るつもりにしていた近鉄奈良駅前の「クラフトビール」。。また今度。

帰りに舞台裏(猿沢池)からパチリ↓。ここを鬼が通るシルエットも見てみたいな。。

12月の鬼滅の刃の能舞台(大阪)もいきたい。夢は膨らむ。先の楽しみ。

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