漆のにおい、やっぱり好きだな~。
ひさしぶりの金継ぎ
途中までやって長らく放置していた食器たちの金継ぎの作業を再開しました。ちょうどお天気も雨模様。漆作業は雨の方がよいのです。湿度で漆の渇きが早い。
今日の工程は「紙やすりをかける→ 絵漆+金をまく」。一番豪華な金の前に地味だけどとても大事な紙やすり、番号を変えて何回かやる時間と絵漆の時間。
漆のにおいって独特の「和」のにおい。毎年出す雛飾りの箱を開けた時もこのにおい。独身の頃に通っていた茶道教室が、古美術商の古民家の2階で、「こんにちは~」「おあがり~」の時にふとにおう。漆。今思うと扉やなにかのしつらえが拭きうるしだったんでしょうかね。。
さて金継ぎは今回金じゃなくて「真鍮粉」、酸化防止の金継ぎ用の粉を使います。
だって金、お高ぁい。
金粉、真鍮粉の他に銀粉や錫(すず)粉もありますね。
欠けた部分につけた麦漆(ねんどみたいなもの)がすっかり固まったものに、紙やすりをかけてなめらかにして(これめちゃくちゃ大事)、そのあと絵漆(ベンガラ入り?で少し赤い)を筆でぬって薄くカバーしていきます。ここ、絵漆は薄く塗らないと粉があとで沈んでしまうのでとても繊細な仕事…。なのにいつもこんもりさせてしまう。まぁ自分で使う食器だし、よいのです、練習練習。また使えるにこしたことはない。
漆が乾いたら、筆でぬぐった真鍮粉を上からさ~っとまく。そしてまたまた2,3日の間、室(むろ)がわりの段ボール箱に濡れたティッシュなどを入れて乾く=硬化するのを待ちます。
この工程1つ1つに自然のチカラ=乾くまでの時間 を体感できて、待つ時間もよきかな。…つい何か月も放置しがちですが。
お皿や茶わんの小さな欠けやひび割れ。何度も様々な種類の漆を使って塗ったり乾かしたり。2週間おいたり2,3日おいたり。1つを修復するのにゆうに2~3か月はかかります。いいなぁ、このゆったりした感じ。
先日、毎週録画しているNHK BSの「美の壺」で、漆の特集があり「漆の一滴は血の一滴」と漆かきの職人の方の言葉がありました。無駄にしないよう、大切に使わせていただきます。
いつか壊れるモノ、でもなおせるものは直す
日常生活の中で、大切にしていても欠けたり割れたりはしてしまうもの。
思い出のグラスも先日割れてしまって…、でも「形あるものはいつかは壊れる」。
いさぎよくさよならするときもありますが、多少のことなら金継ぎでなおして、好みのものを長く使う、季節や気分に応じた器で毎日のごはんを共に過ごす。これは私のリタイアライフでいちばんほっこりする過ごし方、やりたかったことの1つです。
もともと不器用なので技術的にはお恥ずかしいものですが、自分で使うものを自分で選んで直しながら楽しむだけなので、十分なのです。ペアのカップの片方が割れても修理できるのはちょっと心強い。いくつか片割れになってしまったものもあるので、その時知ってればなぁと思うことしきり。
長崎・夫婦旅の思い出。香蘭社のカップ。かわいい。。1つ割れてしまってショック。
漆、金継ぎと言えば、輪島
シニアになったら、夫婦旅でなんとなく候補に考えていた能登、輪島。漆と言えば輪島塗。金沢と言えば金・加賀友禅・宝生流の能。
氷見~金沢~能登ツアー、必ず行こう。
取り急ぎ、被災された石川県のサイトからの義援金の寄付(下サイト)はしてみましたが、輪島塗の募金も始まったようです。富山や新潟も含めて、安心安全の確保と再興の一歩をと願うばかり。コロナ禍でもネットショップでの陶器市がありましたが、輪島の漆器もいま準備されているようです。サイトが整い次第、いくつか購入して応援したい。
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