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「SF 三体」原作→ネットフリックス→Amazonプライムで観た

舞台・芸術鑑賞

どんだけはまってるねん、、、どんだけ時間あるねん。。。

中国の作家が描くSF「三体」

中国で三部作2100万部以上を突破
アジア&翻訳もの初のヒューゴー賞受賞
現代中国最大の衝撃作、ついに日本上陸

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。   (アマゾンプライム紹介より抜粋)

原作を手にとるきっかけになったのは、

ネットフリックスの冒頭の衝撃的なシーン。文化大革命のえげつない描写に、これがどうSFにつながるの?と興味を持ち、その深遠にのみこまれていきました。ここ数年でいちばんよかった(思いを馳せ思考が止まらない)作品です。

↓ 原作本の感想はこちら

原作を読んでから、ネットフリックス版をみて、その後Amazonプライム版を観ました。結果その順番で私はよかった(というかどんだけ観るねんw)。原作をベースにどちらも1シーズンで着地点がほぼ同じ感じの2つの映像作品の感想です。

ネットフリックス版 三体・1シーズン全8話

冒頭のセンセーショナルなシーンから、まだまだいろいろあって、なぜ葉文潔が人類に絶望したかまでの説得力が素晴らしい。

一方、登場人物の名前、性別、人種、時代(順番)が違うので、原作のあと観ると少々混乱する。原作なしで一緒に見ていた娘は話の流れ(はしょってるところ)がつながらず、横で解説するなどして視聴。よく面壁者まで(原作ではⅡ)いったな。。詰め込んだな。。

全部で何シーズン何話までなんだろう。3で出てくる私の最推しのあの人をあんな冒頭から出して…。

Amazonプライム版 三体・1シーズン30話

監督が中国の方らしく、ネットフリックスや原作冒頭にあった過激なシーンはなく、ソフトな回想にとどまる。登場人物の名前と人種、時代がほぼ原作と一致、オリジナルキャラクターやオリジナル挿話があるけれど、理系から遠い人や物語を進める上での重要なスパイス。大きな改編はなく、気にならない範囲でちょこっと。車(BYD?)がかわいいアマプラ版はこちら

1シーズンの主要人物、科学者(原作通り男性、中国人)と葉文潔の回想と現在が丁寧に描かれていて、理系の思考が原作同様わかりやすい”ど文系”の私。

↓ いずれかを読んだ、観た人向け感想

「宇宙の瞬き」はアマプラに一票(原作に寄せてる)

「カウントダウン」もアマプラに一票(原作に寄せてる)。ネトフリは原作とも違うしどきどきさせすぎて。

中国語の会話が主体のアマプラの方では、原作で「大史(ダー・シー)」と親しみを込めて刑事の史強を呼ぶ時の発音がなんども聞けてよきよき。三体、の発音も。

ゲーム「三体」の描写もアマプラに一票。ゲームっぽいリアルさ。

原作には描かれていない「異星人」のイメージ描写についてもアマプラ頑張った感じ。

「スライス」はどちらもよかった、ただネトフリ版の女性科学者みたいな病み方は原作になく(原作は男性だし)可愛らしい人だけれど話的には不要な描写かなと。なんで中国人男性から白人?女性にしたんかな。見た目じゃないのよ科学者は思考。知らんけど。その思考の過程もアマプラの方が丁寧、そりゃ30話もあるからそうなんだけれど、学者愛、理系愛を感じる。

「嘘」に関する描写は今のところネトフリのみ。なんで「虫けら」呼ばわりされるのかの大事なところ。

1シーズンの最後はアマプラの方が原作に忠実。ネトフリはこの先どうやるんかな、、原作と切り離して楽しめないので観ないかもしれない(おい)。アマプラ版は観る。いろいろな描写をどう映像化するのか気になる。

とはいえ、ネトフリの冒頭シーンの予告CMを観たからこそ興味が沸いて原作を手に取り、深遠にはまり、今も思考が止まらない出会いをもらえた、そのきっかけには大感謝。

原作が面倒な人は、ネトフリの冒頭(文化大革命)をみてから、アマプラをじっくり見るのがいいかも。

原作・哲学的な描写

時にSFということを忘れるような、科学とはちょっとちがう哲学的な描写も多い三体。思わず書き留めた文章を影響が弱い範囲でいくつか。

以下「三体Ⅱ」より抜粋

  • 60歳というのは、16歳と同じく人生で最も素晴らしい年齢だ。
    4,50歳の頃の負担からは解放されて、
    7,80歳のころの病気や衰えはまだやってこない。
    まさに人生を楽しむ時期だ。
  • もしも晩年を幸せにすごしたいなら、新しいことを学ぶ必要がある。
    インターネットを使いこなす、外の世界に関心を持つ、国や世界の問題に関心を持つべきだ。
    それが充実した人生の一部分だ。
  • 成長。子供が自分の理解を越えた時
    「もっと考えろ」「まず最初に、しっかり、長く、考えろ」
  • 嘘を見抜くには
    長いリストに質問を書く。関係ないものも含めて、その中に鍵になるものを混ぜる。
    ひとつひとつ何度も質問し答えを記録する。
    関連する質問の答えが都度違うとき、嘘をついている。
    これに対する対応は「沈黙を保つ」こと
  • 宇宙社会学の公理
    1.生存は文明の第一欲求である
    2.文明はたえず成長し拡張するが、宇宙における物質の総量は常に一定である。
  • 暗黒があった。
    暗黒以前には無しかなく、無には色がなかった。
    無には何もなかった。暗黒は、少なくとも空間があることを意味する

以下「三体 Ⅲ」より抜粋

  • 忘却力と適応力に優れた人間なら、
    半分死んだ人生にも満足できるし
    幸福さえ感じることができる
  • 目じりのあたりは弱光に対する感度が高い

いやはや、壮大な世界に連れて行ってもらってなお映像作品をみようという意欲が湧く。

文章表現にひとつひとつ深く考えるのもよき、

映像表現に感嘆するのもよき。

青空に、夜空に、太陽に思いをはせるのもよきかな。

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