雨の日の読書、スマホを辞書替わりに使ってみる。
有吉佐和子さん「悪女について」「青い壺」
図書館で借りてきた
- YouTubeを拝見している肉乃小路ニクヨさんおススメの「悪女について」
- 何カ月も待ってやっと順番の回ってきた「青い壺」
有吉佐和子さんの作品は「華岡青洲の妻」「針女」「紀の川」を10代後半で拝読して以来。なにより入り込ませる文章で、今のアラカンという年齢で読むと、同世代の人々の心情や生活の内容が生々しく感じられて、没入しやすいことも多々あります。
「悪女について」は、謎の転落死をした主人公、富小路公子を巡って周辺の人へのインタビュー形式でその人物像が語られていくもの。
騙されている人は、自分が騙されているってことにここまで気がつかないのかとそのさらりとした手腕に驚く。主人公自身が自分をだましている、というか別の・理想の・自分になりきっているからこその彼女なりのおそろしいまでの「正しさ」で進むストーリーがすごい、彼女の中では「清く、正しく」つじつまが合ってる、らしいからコワい。騙される人ってこうやって騙されるんだなというありさまの表現が見事。
子供二人の父親は自分だと信じ切っている人が2人(!)いたり、姑との同居解消を夫から言わせるナチュラルなテクニックたるや。話を聞く人が増えるにつれ明らかになるつじつまの不整合=悪女の計算ずくのさまを読者と書き手のインタビュアーだけが知る。いやお見事。
「青い壺」は、その出来栄えに作者も驚くほどの目を引く作品がたどる数奇な話。壺に足があるわけではないのに次々とわたりあるく動機がおもしろい。
デパートで、お礼の品として、盗まれて、骨董市でたたき売られて、海を渡り、常に人の目をひき、値打ちものと思われて、最後にどこからみても価値ある古物のテイで戻ってくる。
戦後すぐの話でもあり焼野原からどうやって人々が暮らしてきたか、好き嫌いなんて言ってられない時代からまた世代が変わってきた様がリアルに描写されて、またどの人もその壺を一目みただけでひき込まれる。
魅力とは、ものの価値とは。
たくましく、つましく生活する人々の息吹と、哀しい寂しいとおもしろい。
特に70代の元女学生達の京都格安ツアー珍道中のあたりは、まさに私がソロ活をする理由と同じ「ひとりひとりが面倒」を見事に表現されていておもしろく読みました。シスターのところででてくる「沈黙の大切さ」も、アラカンになって口数が少なくなってきた私には、わかる。
スマホは辞書替わりにとても便利
本を読み、作品世界に没入して「妄想」「想像」するのに、わからない言葉がでてきたら辞書で引いたり百科事典で調べたり。そんな昔と違っていまは文明の利器、スマホがあります。
辞書がわり
どんなバラ?枯れた?? すたれた?? スマホで部首検索も面倒なので「にすいにまわるとかいて」で検索して
どうやら「しおれた」と読むようです。なるほど。。
「無聊(ぶりょう)」とは?? はて?? 今度は言葉をいれるだけで意味がでてきました。たいくつ、、なるほど。いやはや便利。しかしこれはふりがながなかったら読めなかったかも。
昭和初期生まれの作家の、今ではやや奥ゆかしさをも感じる粋な日本語。
画像検索も
「青い壺」とはどんな青、どんな形なのか? 作中から言葉を拾い「砧(きぬた)青磁 経管」で画像検索。
お経を入れる筒のような形であるから経管。なるほど1つめの円柱みたいなものかな。作中に壺と同じ目の色の人の表現があるのですが、こんな青なのか。。。なるほど。綺麗だな。読書で想像したものをよりリアルに感じることができるスマホ、お手軽。
音楽も
同じく「青い壺」の作中で ノクターンという曲をピアノで奏でるシーンがでてきます。
ノクターン、、どんなんやったかな。。 と、アップルミュージックで曲名を入れるだけで
フジコヘミングさん、あるいは辻井伸行さん、あるいは… どなたの曲で再生しようか迷うほどでてくる(笑)。それで再生して、ああ、はいはい、この曲ね。作中では少し乱雑に奏でるようだけれどこれを?ふむふむなるほど、、とその情景を想像して続きを読む。かたわらにはミニスピーカーを置いているのでしばらくフジコヘミングさんのアルバムを小さいボリュームで流しながら読む。
どこにでも持ち運べるBOSEのミニプレイヤーは音質最高、読書の時は無音で鳥の声など聴きながらが一番好きな形ですが、たまにはこういった演出もよき。
知らない世界へ旅をする
読み終わったあと、経管ではないけれど、私の好きな青磁の平たい壺を出してきて、飾るなど。
これには中でなにかが詰まりそうで水を入れて花を生けたことがないのですが、みて良し、活けてよしかもしれない。せっかくの機会なので、コデマリなど活けてみようか。
雨の日も、ゴールデンウイークも積極的おこもり(笑)、本を読む楽しみひろがる。
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