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東大寺で狂言。野村萬斎さんの舞に病魔退散

京都・奈良

楽しい狂言2つとボレロで舞う野村萬斎さん。眼福、至福でございました。

東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌慶讃

2023年10月16日(月)、東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌慶讃のイベントのひとつ
東大寺狂言~野村万作・萬斎・裕基、狂言三代~が催されました。

作品は、野村万作さんによる「木六駄」、野村裕基さんによる「茸(くさびら)」、そして野村萬斎さんによる「ボレロ」。ボレロはオーケストラと共に。S席は完売でA席の当日券がちらほら。

良弁僧正といえば、二月堂の前にある良弁杉(ろうべんすぎ)。開場の18時半まで少し時間があったので、東大寺境内の二月堂にて、夕暮れ~マジックアワーを愛でる。時間がゆったり流れます。

二月堂は24時間開いているので夜や早朝もおすすめです。東大寺 大仏殿に向かう坂の途中で「ボレロ」が聴こえてきます。オケとのリハーサルですね。暗くなっていく春日の山と荘厳なボレロをBGMに坂を下りていく、なんとも雅で贅沢な時間。鹿がきゅーんっとあちこちで鳴いてます。

東大寺大仏殿

10月中旬の奈良の夜。

屋外での催しで開始時間が19時、終演が21時過ぎ。寒いに決まっているのですがあちこち歩いて少し汗をかいたりして、体温調節が難しい。お着物姿の方、ダウンジャケットの方といろいろです。私はストール2枚にカイロ持参。結局カイロも使いました。寒い~。

↓ この日の服装

大仏殿入り口に並びます。

入ってすぐのフォトスポット。東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌、5色の幕が雅(みやび)です。

白テントの前が座席でL(左席)C(中央席)R(右席)に分かれて椅子が置かれています。

こちらL席前。

 

私はC席(中央席)のかなり前、マイクを通さずとも息遣いや衣擦れの音が聞ける良席でございました。

大仏殿前の舞台の前にオーケストラが。。かぶりつきです。やったー。

狂言「木六駄」「茸(くさびら)」

◆ 野村万作さんによる「木六駄」。

主人から都の伯父に言付けを預かった太郎冠者(万作さん)。木六駄(6頭の牛に積んだ薪)と炭六駄(6頭の牛に積んだ炭)と手酒(桶に入れた酒)を届けるというもの。峠の茶屋にたどりついて酒を注文するのですが主人(萬斎さん)は酒はきらしたという。そこで桶の酒に手を付けてしまいます。そして主人にも酒をついて酒盛りになり、酔った太郎冠者は木六駄も茶屋にやってしまいます。さてそのあと…。

見どころは、年末の降りしきる雪の中、蓑傘をつけて1本の追竹だけで12頭の牛を追う太郎冠者。いないはずの牛が見えてくる。そして、茶屋の主人との会話から酒盛りになっていくさま。微動だにしないときと、よろよろ、よれよれ動く時の変わりようも素晴らしい、オチも楽しい。

人間国宝のふるまいを目に焼き付けるべく、凝視してました。牛をおいやるときに「ちょう、ちょう!」と声をかけるのですが、遠くから応えるように?鹿の鳴き声が聞こえてくるのも奈良・東大寺屋外ならではの野趣あふれる演出(笑)。

雪のシーンではライティング効果もあって、能楽堂とはまた違う感じを味わえました。

◆ 野村裕基さんの「茸(くさびら)」。

屋敷の庭に茸(きのこ)が生えて困っている男、抜いても抜いても生えてくる。そこに山伏(裕基さん)を呼んで茸封じをしてもらうのですが、山伏が念じるとなぜか茸が増える…。キノコの種類がどんどん増えて祈りの効果は全く効かない。

みどころは、茸役の方々の動き。座っているような体制ですすすーっと車輪でもついているかのように動き回るさま。人間の思うようには何事も進まない滑稽さ。屋敷の主人のように「全然効果がでないではないか」と山伏に直接言える気概が自分にも必要だなと思うなど。

山伏が修行で得たという様々な念仏を唱えるシーン「ぼろんぼろ、ぼろんぼろ」。照明がいい感じ、すっとんきょうな「ほいっ」「ほいっ」という声?をあげながら、どんどん茸が増えていきます(笑)。必死に唱える山伏がはりあげる声もむなしく、最後に真っ赤な茸の大王みたいなのがでてきて。おどろおどろしい照明も見事。どうにもならなくなるのもおもしろかった。

能や狂言は想像(妄想)を駆使して楽しむものとはおもえども、こういった舞台演出もいとをかし。

野村萬斎さんのボレロ

和の扮装で舞う、ボレロ。

オーケストラの面々と指揮者が最初に登場し、舞台奥の大仏、廬舎那仏に合掌してから演奏が始まります。

厳かに舞うその様は、映画「陰陽師」の安倍晴明のようでもあり、

なんだか魔を封じているような、床を踏む音の強さに

世界平和を願う、祈りのチカラのようなものを感じました。

観終わったあと、とても気持ちがはればれとして。

観に来ることができて、よかった。

↓ 2年前、無観客で行われた東大寺・ボレロ

 

↓ 2022年は大阪城で

↓ 狂言がより楽しめるようになった本

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