厳か(おごそか)・豪華・幽玄な能3作と笑い転げた新作狂言、贅沢な夜。
平安神宮・薪能へ
2024年6月1日と2日に行われる平安神宮での薪能。初日に行ってきました。京都の薪能は初めて。3つの能と狂言と、そして平安神宮の夜空に薪の香りと火の粉が舞いあがり…荘厳。
今年は「光源氏の夢」というテーマで源氏物語にフォーカスした作品がならびます。
6月1日(土)の番組は
- 観世流能「半蔀(はじとみ)」。夕顔の霊が光源氏との出会いを語る。愛がテーマ。
- 金剛流能「葵上(あおいのうえ)」。光源氏の愛を失った六条御息所の生霊。憎がテーマ。
- 大蔵流狂言「おばんと光君(ひかるきみ)」。色男で女性に不自由しない”ほたる源氏”と”とうふの中将」の2人が狙う女性をめぐって…の話。
- 観世流能「土蜘蛛」。1日は入違伝。2日も土蜘蛛がありますがこちらは金剛流で千筋之伝。蜘蛛の糸が舞台上で映えるやつです。
最初に平安神宮の宮司さんによるお清めがあって、半蔀と葵の上の前には「ナビ狂言」として茂山茂さんと井口竜也さんの楽しい話術で演目内容の紹介があります。パンフレット(1500円)と音声ガイド(値段失念)があることもそこで教えてもらえる。これはわかりやすいですね。
最初の能、半蔀がおわると、火入れ式。続いて京都市長のご挨拶があります。全編英語の案内も流れていて、立ち見が出たので増席の案内などを同時通訳する場面もあって、運営の方々もてきぱきされていました。
応天門前。自由席は早いもの順なので17時前にはこの倍くらい並んでました。
正面前方は指定席。9列あって、その後ろに一段設けられていて自由席が並びます。私は指定席でしたが立ち見が出るほどの盛況ぶり、あまりの多さに席(椅子)をあとで増やされたりもしたようです。JRやクラブツーリズムからもチケットがでていて正面右の方がその団体席でした。パイプ椅子が並んでいて、特に休憩もなくて、適度にまばらにトイレに行く感じ、いうなれば17時開場、あるいは18時の開演から終演の21時までほぼ座りっぱなし。なのでシテ方が退場されるとざわざわざわめいたりトイレに行かれる方などが目立ちます。これもまあこれでいいか。
笑い転げた狂言
幽玄な能の舞はやわらかく、生霊の憎しみの舞は静かに激しい。土蜘蛛もモンキーマジック(言いたいだけ)蜘蛛の糸が夜空に映えて。そして、一番楽しみにしていて期待以上だったのが狂言。来てよかったわあ。
茂山逸平さんの「ほたる源氏」が女性にもてすぎて飽き飽きという登場からして…とぼけたお顔あたりからもうオモシロイ(いや失礼)。おばんの茂山千五郎さんの朗々たる謡にほれぼれ。五十路(いそじ)?六十路(むそじ)?じゅくじゅくの熟女を求める流れに客席にはそれくらいの年齢の女性=おばん?もたくさんいたので、笑うやらスンとなるやらも可笑しく?お近くの席の70代以上とおぼしきご婦人が手をたたいて笑い転げてました。もちろん五十路、いや六十路に近いアラカンの私も何度も大爆笑。いや~涙でた、おもしろくて。
合間の一枚。夜空に映える能舞台とその向こうにある平安神宮。
日が暮れると存外冷える
もうみなさん慣れたもので、私も…と思いたいですが冷え対策の持ち物も万全。
- 手ぬぐい・扇子…最初はまだ日差しがあって最後の西日に帽子や手ぬぐいで頭と顔を守る。開演前は日傘で防御されている方もちらほら。手ぬぐいはこのあとの冷えにも万能。首に巻きます。扇子は暑い時に仰げるし日もよけられて万能。手ぬぐいをお持ちの人多かった印象。
- ストール、ひざかけ、上着…1枚上着(シャツや薄めのパーカー)かストールを持参されている方多し。私は肩にかける麻のストールと膝にかけるパシュミナで万全。
- お水とか飴とか…冷えるし喉が渇くしトイレは混みそうだし。。合間にお水を少し、これ大事。
マイ手ぬぐいは、先日の雪舟展でゲットしたA.ウォーホルみたいなやつ
着物の方も多くおられて、洗える着物・縮みっぽい地で淡い色合いのお着物もちらほら。私は当日まで迷って湿気が多そうなことと終演時間がわからなかったこともあって洋服にしたのですが、ひと様の着物と帯のコーディネートは大変参考になり眼福な時間でございました。縮みか~ ← 買おうとしている?!
蛍
眼福と言えば、もうひとつ。
帰り、白川沿いを歩いていたら「蛍(ほたる)」が土手のところに。ほたる源氏のお見送りです(笑)。久しぶりに蛍がとびかったり草のところでほのかに光っていたりするのをみて、立ち止まって見る方がたくさん。いや~儚げ・風流ですな。
夏は夜。(中略)蛍の多く飛びちがひたる。また、 ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし
源氏物語がテーマの能狂言を堪能したあと、枕草子も堪能。なんとも雅で贅沢な京都の夜でした。
↓ 薪能シリーズ(2つ目は違うけどお外の能、興福寺 塔影能。また行きたいけれど五重塔の修復待ち…)
↓ 雪舟展
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