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幽玄の世界、興福寺 塔影能へ

京都・奈良

秋の夕暮れ、興福寺で能を陪観。

塔影能

阿修羅でおなじみの奈良・興福寺で、東金堂に能狂言を奉納する塔影能は、毎年10月の第一土曜日の開催ですが、コロナ禍もあり今年は3年ぶり。

2023年から令和の大修理が始まる「五重塔」がライトアップされ、東金堂内の本尊、薬師如来像と脇仏、日光月光他が照らされる中、野外の能を陪観できる絶好の機会。

陪観後は金堂内にて薬師如来を間近に見ることができます。

塔影能は、奉納するものなので観客は拍手はしません。荘厳な世界観。

チケットは7,000円、野外に1000席ほど用意されていました。

興福寺の僧侶による読経で始まる

夕暮れの興福寺、東金堂。

次第は、NHK奈良の秋鹿アナウンサーの司会で

  • 開会の辞
  • 寺僧登壇
  • 総礼(三度礼拝)
  • 般若心境・唯識三十頌
  • 総礼(三度礼拝)
  • 寺僧降壇
  • 演者代表 礼拝
  • 独鼓「海士」
  • 狂言「太刀奪」
  • 能「天鼓」
  • 閉会の辞

17:30ごろから開会。夜空に響く般若心経、全員で起立して東金堂に礼拝。お経って心が落ち着く。そんなスタート。

能が終わったのが19:30くらい、閉会後に希望者は東金堂内に入ることができ、少し並びましたが奈良を後にしたのは20時頃。

能、狂言

私の席は脇正面。橋かかりという舞台の出入り口のすぐそば。

海士では謡を逃すまいと耳を澄まし、狂言では笑い、能は哀しく。。

能「天鼓」で最後に亡霊がでてくるのですが、あまりの静かな迫力

かっこよ!、いや、かっこよ!!

と年齢に見合わぬ感想を持ち、見とれていました。橋かかりのところで長い間とどまっておられたのでまじまじとみてしまった。夢に出てきそう、いや、迫力たるや。面は静かな表情ながら、髪を振り乱して舞う様は、喜ぶほどに哀しくて、激しい。

観世流 シテ方・片山九郎右衛門師ほかの皆様の幽玄、興福寺の仏像の荘厳、五重塔と月。

贅沢な1日を堪能。

演者(というのか)や謡、囃子方にお若い方がちらほらおられて、層の厚さを感じました。

同じ演目を何百年も前の武士や貴族の方々も同じ言葉で鑑賞され、同じ月を見たかと思うと

1庶民が僭越ながら

興福寺の1300年を越える歴史に思いをはせて夜空を見上げ、ただただ感嘆。

帰りに狂言の方(太郎冠者の方)をお見掛けして、おいかけそうになりましたが我慢w。大きな体であの力強いお声を出され、舞台を右へ左へ転げておられて、大笑いしました。一所懸命だけどちょっとおかしなことになってしまうのは、今も昔も笑えるものなんですね。

狂言・太刀奪(パンフレットより抜粋)

主と太郎冠者の主従が、北野神社に参詣するところへ太刀を差した男が通りかかる。太郎冠者はその太刀を奪おうとするが丸腰なので主人の刀を借りる、、が逆に奪われてしまって取り返そうとするが…という話。

着物でGO!

さて、日中と夜の寒暖差が気になりつつ、お着物は単衣で。ちらほら着物の方もおられました。

洗える夏用の長じゅばんで正解、汗だくだく。半幅帯を吉弥結びにしたので、背中はぺったんこ、椅子にもたれることができて、前回(お太鼓かつ長時間)よりもラク、翌日の筋肉痛もなくGOOD👍

当初の予定は単衣+名古屋帯。秋の色…でも背もたれできないとしんどいし、皺がよるのいやだなと急遽半幅帯に変更したのでした。

 

 

 

 

虫の音とともに冷たい風が吹いてくるころ、陪観席の皆様も薄いダウンやらヤッケやら万事用意済みの周到さ。諸先輩方さすがです。盆地の夜は寒い。

私も20年くらい前のバブルの時に流行った「パシュミナストール」をカバンの中に潜ませていたのでそちらを膝にかけて、あたたかく陪観することができたのでした。かさばらず小さくたためてあったかい。まだまだ現役。新幹線の中とか法事とか、黒のパシュミナ、万能感。

 

この勢いで来週の大阪城の薪能のチケットも買ってしまった。。狂言は野村萬斎さん、能は土蜘蛛。楽しみだ~。

 

↓ 前回のお能

↓ リタイア後は着物再デビュー顛末

 

 

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